小さな製造業の為のマーケティング講座12:

小さな製造業の為の…

FROM:長谷

 

この講座の「集客編」もラストになりました。

最後は「WEBマーケで押さえるべき法律」について解説していきます。

 

法律となると、専門家に聞いた方が良いのでは?という事で

弊社の顧問弁護士さんに相談したら、一冊の本が送られてきました。笑

 

なかなか厳しい、腕のいい顧問弁護士さんで良かったと思いつつ、

その本より抜粋にて、気を付けるべき法律を紹介します。

 

例えば、

「当社の社員が名刺交換をしました。

その名刺の情報をメルマガやDMなどに使うと伝えていないが、無断でDMやメルマガを送っても良いのすか?」

 

というクエスチョン。

 

名刺交換した情報を無断でDMやメルマガで使うのは、法律に触れると思いますか?

 


広告の規制法

 

まずは「広告」に関してざっと関連する法律を紹介します。

 

全般に関わるものとして、

「景品表示法」があります。

 

広告コンテンツについては

「著作権法」「商標法」「不正競争防止法」等が関係します。

 

また、業種によっては「薬機法」「健康増進法」「金融商品取引法」などがありますが、

「小さな製造業の為のマーケティング講座」では触れません。

 

景品表示法とは

 

消費者庁のホームページによると、

「消費者なら、誰もがより良い商品やサービスを求めます。ところが、実際より良く見せかける表示が行われたり、過大な景品付き販売が行われると、それらにつられて消費者が実際には質の良くない商品やサービスを買ってしまい不利益を被るおそれがあります。
景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限することなどにより、消費者のみなさんがより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ります。」

 

とあります。

つまり、ありもしないスペックや性能を書いたり、内容を偽って販売するのはNG、という事ですね。

 

例えば、

・カシミヤ混用率が70%のセーターに「カシミヤ100%」と表示した

・「この技術を用いた製品は日本では当社のものだけ」と表示したが実際は競争会社も同じ技術を用いた製品を販売していた

 

などを、消費者庁のガイドラインでは紹介されています。

 

広告では、人の目に残る、インパクトのある文言を目指してしまいますが、

あくまで真実であること、ミスリードを誘導するような文言には気を付けて下さい。

 

特に、

「○○は当社だけ」

「100%」

 

と言い切るような時、注意してください。

 

著作権法・商標法

 

著作権法は、

著作物を他人が無断で無制限に利用できないように法的に保護する必要がある為に制定されています。

 

自社でホームページや広告、DMを作る際、特に「写真」「イラスト」の取り扱いには注意してください。

 

よく、Googleで出てきた画像をそのまま保存して、ホームページに貼り付けているのを見かけますが、NGです。

 

「スーツの男の人がパソコンを使って商談をしている写真が欲しい」と思って、

適当にインターネットから拾ってこないでください。

 

かならず、有料の著作権フリー画像が、無料を使うならしっかり調べてから利用するようにしてください。

 

エイチツーで使う画像(イラストや例えば背景などの写真)は、必ず有料の素材を購入しています。

個人的にはAdobeのstockというサイトが大手なので安心です。

 

商標もけっこう気を遣う法律です。

例えば、その業界でも一般的な「呼び方」が、実は商標だった、という事があります。

 

ポンプで「一軸ねじポンプ」という駆動機構のポンプがあるのですが、

それを「モーノポンプ」と呼ぶ人が全国にたくさんおり、

「一軸ねじポンプ」より、モーノポンプの方が非常に広く認知されていますがモーノポンプはNGです。

商標登録されているからです。

 

エイチツーの経験で言うと、別の事業になりますが、

「セントラル浄水器」という事業を行っており、その広告に

「お家まるごと浄水にします」的な文言を入れていました。

 

すると、競合他社が「家中まるごと浄水器」で商標を取っており、

文言を修正するよう、通知が来たことがありました(謝罪・修正して終わりました)。

 


コンテンツに絡む法規

 

■ホームページは誰のもの?

自社のWEBサイトを社員のAさんが作ったとして、このWEBサイトの著作権は誰のモノでしょうか?

 

これは、一定要件のもと「職務著作」として、当該従業員が所属する法人等が著作者となるとされています。

つまり、Aさんのモノではなく、会社に著作権がある、という事です。

 

■ブログなどに使う写真に、関係の無い人が写り込んだらモザイク処理は必須?

プライバシー権・肖像権との関係が問題になります。

 

人物へのフォーカスの度合いや写真・動画全体に対する割合、特定可能性に応じて肖像権侵害と認定される可能性があります。

訴訟とならないまでも、広告・マーケティングにおいては、クレームの可能性が排除できない為、

撮影及び公開の許諾を得ていない人物が写り込んだ場合はモザイク処理や使用を控えるなどが賢明です。

 


メールマガジンの関わる法規

 

冒頭のクエスチョンに戻ります。

 

「当社の社員が名刺交換をしました。

その名刺の情報をメルマガやDMなどに使うと伝えていないが、無断でDMやメルマガを送っても良いのすか?」

 

こちらに対する答えとして、以下抜粋します(弁護士さんから送られた参考書籍は最後にご紹介しますね)

 

近似改正された個人情報保護法に関するガイドラインによれば、

~中略~

名刺交換時に名刺記載の個人情報の利用目的を伝えていない場合においても、

所属する会社の広告宣伝のためのDM等の送信が可能と解されます。

 

つまり、名刺交換で取得した情報の利用は、その利用目的が明らかであると認められる場合、OKのようです。

 

同意の取得とその例外

 

「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)」は、メルマガを送る者としてしっかり意識が必要な法律です。

 

同法によると、

広告宣伝の為に送信される電子メールについては、予め同意したものに対してのみ、

広告宣伝メールを送信する事ができるとされています(オプトイン方式)

 

しかしながら、その例外として、

「書面でメールアドレスを通知」した人に対しては同意なしで送っても良いようです(なぜでしょうね?)。

そういう意味で、名刺による通知も、この「書面で通知」に含まれるとされています。

 

メールマガジンその他の規制

 

特定電子メール法は、上記以外にも

1. 送信を拒否した者への送信の禁止

2. 一定の事項の表示義務

3. 送信者情報を偽った送信の禁止

4. 架空アドレスあての送信の禁止

 

の規制があります。

1.はメルマガを送る際、必ず登録が解除できるようなシステムを入れて下さい。(弊社も入れております)

2.に関しては、受信者が容易にどこの誰のメールか判断できるよう、責任者の氏名・名称・メールアドレスなどの表示義務を課しています。

 


 

マーケティング講座【集客編】、今回で終了になります。

次回からは「販売・育成編」となります。

 

せっせと集めたリストをどう使うのか?

ココが納得できないと、リストを集めよう、というモチベーションも上がりませんよね?

 

次回からの講座でやっと「だから集客は質より量なんだ!」と腹落ちして頂けるよう、

講座に磨きをかけておきますね。

 


 

PS. 集客編の講座を最後までご覧頂き、誠にありがとうございました!

「もっと○○が知りたい!」そんなリクエストも是非教えて下さい。

 

アンケートはこちらをクリック

 


今回使用した参考書籍は

北川祥一著「Q&A デジタルマーケティングの法律実務」です。

めちゃくちゃわかりやすい内容ですので、マーケティング担当の方は一冊持っていても良いかもしれません。

 

また、今回の内容は2021年時点の書籍参照です。

ステルスマーケティングへの規制など、法律は変わっている部分があります。

 

講座の内容も含め、不明点や実行に際しては御社の顧問弁護士さんや責任で行ってください。