
得より損
FROM:長谷
「メリットを売り込め」
「ドリルでは無く、どんな穴が開くのかを売り込め」
マーケティングを勉強した事のあるあなたなら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
常に「WIIFM」を意識するように。つまり「What’s in it for me ?(それは私にとってどんなメリットがあるのか?)を常に意識して、あらゆるメッセージを考えることが大切です。
特に産業機器業界においては、その製品の「スペック」ばかりが強調され、肝心の「それは私にとってどんなメリットがあるのか?」が置き去りにされがちです。
あなたは、マーケターとして、営業として、日夜「顧客にとって価値のある」メリットを提案し続けているのではないでしょうか。
その努力はもちろん正しく、それはそれで結果に繋がる努力ですが、そんなあなたに一つお教えしたいのが、
行動心理学によると、
人間にとって「手に入れる喜び」よりも、「損失が出る痛みを回避する」方が、モチベーションの強さは2倍になるのです。
嘘ではありません。なんと、2倍になるのです。
損失回避をマーケティングに応用しよう
上記をシンプルに言うと、「痛みを避けたい」と思ったときの動機の強さは、手に入れたいと思ったときの動機の2倍になる、ということです。
例えば下記のように、「損失回避」をアップグレードに使う事が出来ます。
あなたは東京に住んでいて、車に関してはカーシェアリングを利用している。
基本的に公共交通機関網が整った東京であれば、休日に家族で遠出する時くらいに車が必要なので、これで充分だと考えている。
しかし不満もある。
例えば、ゴールデンウイークや子供が夏休みの時の土日、年末年始などは希望した日程や車種で予約が取れないのだ。
本当は、ミニバンでキャンプに行きたいのに用意されたのは軽自動車。そんなこともザラにある。
その度にあなたは予約センターへ苦情を言う。
「せっかくのキャンプに、希望していた車種が取れないなんて。毎月費用を払っているんだから、何とかならないの?」
「お客様の不満はもっともです。私どもとしても、やはり利用者様の集中する時期にご希望に添えれない事を把握しております。大変申し訳ございません。」
「子供といる大切な時間を、快適に過ごしたいだけなんだよ。何とかしてくれないかな?」
「それでは、お客様の会員グレードをアップグレードされるのは如何でしょうか?更に上の車種もお選び頂けますし、基本的にアップグレードされた会員様を優先的に車種をご案内しております。しかし、お客様。このアップデートの機会は多くはありません。アップデート会員様の締め切りは今週いっぱいです。それまでに会員上限になってしまえば、数年はアップデート会員の募集はしないでしょう。」
どうでしょうか?
あなたはきっと、別に上のグレードの車種に乗りたいワケではないハズだ。
そんなことよりも、貴重な家族の時間を「台無しにしたくない」という損失回避の気持ちが強く働かないだろうか?
もし、あなたがマーケティングにおいて、「メリットばかり」を説明しているのであれば、それはとても勿体ないことをしている事になる。
不安は間違いなく購入の動機になる。
人は「得」するよりも、「損」をするのを2倍嫌がる。
これは、マーケティングをするにおいて、覚えておいて「損の」無い情報じゃないだろうか?